昨年のコロナ禍を経て、
今年の春戦線は「オンライン授業」などを大々的にテレビCMで打ち出している英会話スクール、学習塾が増えています。
既存の通学制と併用しながらオンラインへの振替なども可能というスタイルや、
そもそもオンライン授業のみのコースを設計するなど、打ち出し方は各社バラバラです。
この「オンライン・リモート」スタイルの学習塾や英会話教室の市場ですが、
子ども向けの市場を考えると、まだまだ「オンライン・リモートが主流」にはならず、
従来の「通学制」が主流です。
これについては、保護者の価値観がまだまだ過去の延長線上であり、
都心部においては、通学制の一定品質のスクールが存在しているため、
そちらが選ばれるケースが多いことが要因です。
しかし、だからといって「オンライン・リモート市場」が成長しないかということ、
今後数年で急速に成長していくことは間違いありません。
一定の市場シェアを「通学制」から奪うことは確実でしょう。
「オンライン・リモート授業」を活用する層としては以下のタイプが考えられます。
1)過疎地域など「教室」が存在しない地域の消費者
→この層は既に通信教育を使用していたりする
2)両親の共働きなどの理由で平日に「習い事に通うことができない」消費者
これらの層は物理的に「通えない・通いにくい」層ですので、
学習塾や英会話教室の通学市場の乗り換えとはいえません。
3)地元の通学制の教室に「良質」な教育の教室がないと感じる消費者
→この層が今後移行してしまうメイン層となります。
地域内に教室はある…しかし、納得いくレベルの教室がない。
こうした消費者は通常WEBでスクールや学習塾の検索をしますので、
WEB上で、オンライン・リモートスタイルの良さそうなスクールがあった場合、
当然体験受講をし、その結果、通学制の地元の教室よりも他のオンラインの教室を…となってしまうのです。
4)首都圏や大都市圏の「ブランド」教室を選択する消費者
→教育業界で時々生まれる、
全国区でブランド化された「〇〇〇式教育」や「〇〇先生の塾」のような教室への通学を考える層です。
この層は、当然のことながら地域内ではその教室がないため、大本の教室のリモート授業を選択します。
従来の教育業界においては「フランチャイズ」という形での全国普及がメインでしたが、
今後はリモート・オンラインでの受講がこのタイプの中心になりそうです。
以上を見てみると、3)と4)の層は基本的に、
「イノベーター」や「アーリーアダプター」と呼ばれる、
教育意識が高い、情報を感度が高い層になります。
層としては1割未満だと思いますが、こういった層が徐々にオンライン・リモートでの教室通学を始め、
そうした消費者の発信が徐々に拡散していく、
この流れの中でオンライン・リモートでの受講の市場が成長していくと思われます。
目の前の1~3年程度においては、オンライン・リモート市場は大きく花開くことは少ないかもしれません。
しかし、市場の変化は上記のような形で徐々に進行していくと思われます。
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