日本全国各地で有名私立中学の合格実績が発表されています。
中学受験指導を行う学習塾にとって、それぞれの地域の上位中学の合格実績は、
まさに今後の経営を大きく左右する生命線になります。
そういう意味では、学習塾経営に関わる人間としては、この数値の変動が大いに興味深いところです。
<関東エリア>開成中学の各塾の合格実績2021年(2月末時点)
SAPIX :269名
早稲田アカデミー :127名
四谷大塚 :106名
日能研 :30名
浜学園 :23名
栄光 :14名
開成中の合格実績は今年はこのような状況です。
相変わらず、ダブルスコアをつけるSAPIXさんの圧倒的な強さが光ります。
二月の勝者という塾業界を舞台にしたマンガでも、明らかにこちらをモデルにした塾が登場していますね。
早稲田アカデミーさんは高校受験に強みがありますし、四谷大塚さんもグループでは予備校部門が強い。
各々の事業領域の展開が興味深いです。
<関西エリア> 灘中学の各塾の合格実績2021年(2月末時点)
浜学園 :96名
馬渕教室:71名
希学園 :47名
日能研 :30名
一方でこちらは関西、西日本エリアの灘中の合格実績です。
こちらはダブルスコアをつけるほどの圧倒的な1強という形ではなく、上位の学習塾が拮抗しています。
10年以上前は浜学園さんの1強、もしくは希学園さんを加えた2強という合格実績でしたが、
現在は馬渕教室さんが合格実績を飛躍的に伸ばしており(5年間で約2倍!)、浜学園さんと並ぶ勢いを見せつけています。
…と、ここまでは事実ベースのデータなのですが、しばしば学習塾業界で話題になるのが、
合格実績水増し問題
です。
要するに各塾の合格実績を足すと「明らかに中学の合格者数の総数を超える」という問題ですね。
これのシンプルな足し算を根拠に、「合格実績の水増し」が疑う人がいます。
ただ、ある程度学習塾業界に詳しい人なら常識ですが、
「生徒が複数の塾をかけもちする」という事実がこの問題の原因です。
中学受験の難関校を目指す塾においては、
「そもそもその塾の授業についていけない」
「ペース管理をしたい」
などの理由で、個別指導塾や家庭教師を併用するケースは珍しくありません。
今では通常授業はある塾を週複数回通いつつ、同時にWEB授業を他塾で申し込みしている家庭もあるでしょう。
つまり、合格実績というのは業界内の一般的なルールとして
「入塾手続きをした生徒」
「一定の期間以上入塾している、在籍してる生徒」
「直前まで退室せずに在籍している生徒」
「講習やテストなどの短期間の生徒は除外する」
などがありますが、一方で
「週回数が最も多かった塾のみが合格実績としてカウントしてよい」とか
「最も長期間面倒見た学習塾が合格実績をカウントしてよい」とかの
ルールはありません。(というか、それは塾側の都合であって、そこまでリサーチされたら迷惑…)
そのため、各塾の合格実績がこのような数値になるのです。
(もちろん、各塾の多少の計算のズレなどはありますが…)
それでは、合格実績が全くあてにならない数値なのかというと、そんなことはなく、
どういう形であれ、「それだけの合格できる優秀層から支持されている、利用されている」という事実に
違いありません。 ある意味、品質やブランドを表すバロメーターです。
今どきは塾間での実績についての監視や、
消費者のWEBクチコミなどがありますので、
おいそれと各塾が誇大広告をする環境ではありません。
合格実績は基本的に信じて良い数字といえます。
もちろんそれだけで塾を選ぶべきではないのですが。
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