企業規模が大きくなってスタッフ数が増える時、
セクショナリズムが発生したり、
コミュニケーション不足から不満分子が発生したりと、
いろいろなトラブルが発生することが多々ありますが、
一方でそのスタッフ数の増加そのものが、
新たな成長の原動力となっていくケースもあります。
スタッフ数が増えたことにより逆に生産性が高まる。
まさに雪だるま式の成長です。
しかし、多くのスクールビジネスの場合は、
出店のためであるとか通常業務をまわすためにスタッフ数を増加させるため、
「生産性のアップ」につながるということは稀です。
むしろ生産性自体は下がる事の方が多いでしょう。
しかし、生産性が高まる企業がある。
こういった現象が起こるのは、
衆知の結集
という効果が得られるからでしょう。
従来、限られたメンバーの限られた経験や見識から出てきていた改善アイデアが、
メンバーが増え共同作業を行うことによって、多種多様な価値観に対応できる「良質な」アイデアに転換することができる。
これは非常に大きな効果をもたらします。
ミーティング等で意見交換をすることはこれの第一歩ですね。
しかし、これはあくまでスタッフが「共通の目的」に向かって共同作業をする場合に限られます。
(ミーティングだったり、業務が同じだったりなど)
メンバーそれぞれが別の業務を担当している。
メンバーが全く別拠点で話す機会がない。
メンバーがチームがバラバラで仕事の話をする機会がない。
こういった状況では一緒に仕事の話をしていないわけですから、
全くスタッフ数の増加による衆知の結集効果が得られないのです。
たとえ、一緒の職場で人間関係が良好で、世間話や休憩中、就業後が仲良かったとしても、
共通の仕事の話(=改善や工夫)をしていない限り、衆知の結集は困難です。
企業においてスタッフ数が多くなるということは、
人件費の負担に管理コストの増大、不穏分子の発生などリスクが乗数的に増えていくことを意味しています。
これらのリスクを補ってあまりあるメリットを得るためには、
上記のような「衆知の結集」を行える体制づくりが必要不可欠です。
簡単に表現するならば、
単なる「仲良し集団」ではなく、
「同じ会社に所属する見知らぬ仲間」でもなく、
共通の目標を持ってがんばりあう「チームワーク」が重要。
ってところでしょうか。
チームワークによる「衆知の結集」と比較すると、
優秀な個人の「個の力」は非常に微小なのです。
組織を作っていく場合、
「スタッフ数が増加することに自体に意味を持たせる」
ことを決して忘れてはいけないのです。
(通常業務の消化だけではコストの方が膨れてしまいます)
ちょっと好例を上げておきますと、
全国展開で複数拠点をもたれているあるスクールさんでは、
組織の急成長&メンバーの増加に伴い、
全国の主要メンバーが集まっての「全社会議」を開催されるようになりました。
普通に考えれば、
拠点が全国になりメンバーも増えたのですから、
全員を集めての会議開催もコストが増えすぎてしまうので、
むしろその手の会議などは縮小や廃止したくなるのが人情です。
しかし、この社長さんは、
組織の拡大を「肥大」にしないため、
メンバーの増加を「コスト増」ではなく、
さらなる「生産性アップ」につなげるために、
「衆知の結集の場」を用意される英断をされました。
(日常業務のストップや移動日などのコストまでかけて!!)
これによって、全く別のエリアの担当者でありながら、
他地域のメンバーと共同作業をするような状況をつくることに成功されてます。
組織の「拡大化」と「肥大化」は表裏一体です。
この危険性にイチはやく気づかれた、
この経営者さんは非常にすばらしいセンスの持ち主だと思います。
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