私のような職業についている人間にとって、
ひとつのコンプレックスになっているのが、
「自分が実際の現場の業務に携われない」
ということだったりします。
多くの現場から離れられない経営者の方に近い気持ちかもしれませんが、
現場の重要性や現場に入ることの重要性を一番認識していながら、実際には現場に入ることができない…。
これって大いなる矛盾です。
実際にその会社の営業をやっていない人間が、やっている人間に対してアドバイスをする。
これってとんでもなく問題だと思ったりするわけです。
「自分がやってもないくせに文句言うなよ( ゚Д゚) 」
って感じですね。
この職種で仕事をするにつれて、ドンドン悩みが大きくなっていたこの問題。
(まあ、未だに多少のコンプレックスを常時感じていますが)
これについて明確な答えを教えていただいたのは、
今の会社の社長の言葉でした。それは下記のような感じ。
「こんさるたんとは常に現場のことを知らなければいけない。しかし、現場を知るということは単に現場の業務をするということだけではない。」
「現場の目の前で起こっている事象に加え、過去の経験や他社の事例、現在のマーケットの時流などを考えながら、現場の人達とはまた違った視点から『現場感』というものをリアルに伝えることがこんさるたんとの重要な役割だ」
正直なところ現場コンプレックスは未だにあるのですが、
この話を聞いて「確かにそうだ(´・ω・`)」と考え、大きな悩みのスパイラルからは離れられた記憶があります。
また、お付き合い先の経営者の皆様からも、
同様なコメントをいただいたことがたくさんありました。
(多くの場合は「現場にいつづけると、かえって現場のことがわからない、自分が正しいのかどうかがわからなくなるんだよ~」みたいなコメントでしたが)
現場で業務に携わっていて得られるものは、目の前の事象です。
それは自社独自のものかもしれないし、時流からは逸脱したものかもしれないし、はたまたフロックかもしれない。
しかし、目の前の現場の事象に接しているだけでは、それを判断する基準がないため、現場のある一面からの見方しかできないわけです。
例えて言うならば、自動車の運転などがいいかもしれません。
高速道路で車を運転していて順調に走っている。
運転手自体は「順調順調~♪」ってな感じで快適に走っているわけです。ここで感じる運転手の事実=現場感というのは「異常なし=順調」でしょう。
しかし、衛星カメラでその車の進路や高速道路の状況、目的地までのルートなどを管理しているナビゲータの人間からすれば、
当事者が「順調」と思っていても、「実はその道は10キロ先で行き止まりですよ」みたいな事実=現場感が見えてくる。
つまり「異常あり=今後無理」という感じです。
実際に現場で運転している人のみが「現場」で、
上空から車の状況を管理しているナビゲータは「現場」ではない。
そんなことではないと自分が思っています。
現場に対する「視座」の違いのみがそこにあり、どちらも現場に携わる重要な役割だと思うのです。
ただ、おそらくナビゲータのような間接的に現場に関わる人間が、
現場の状況に関心を示さず、無知なままだと、
その瞬間にその部門は「現場」ではなくなり、会議室内の話=机上の空論に変わってしまうのだと思います。
だからこそ、現場の状況把握は、現場にいる人達に負けないくらいしておかなければいけません。
そんなわけで、私の会社の部下のみんなや後輩のみんな。
またお付き合い先の間接部門のスタッフの方々は、
「現場にいる人とは違った視座からの現場感を身につける」ことに誇りを持って欲しいと思います。
よく間接部門のスタッフは「現場に出なくて楽して…( ゚Д゚) 」なんて非難を受けたりすると思いますが、現場にいない人間だからこそわかる価値というのがあるのですから…。
先ほどの例ではないですが、
運転手もナビゲータもどちらもお互いの価値と必要性を認め合って、
尊敬しあえたら素晴らしいのでしょうね。
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