これずに野球ネタも書きたいと思います(野球に詳しくない方はスルーした方がいいかもです)。
日本シリーズ制覇から一夜あけての、案の定賛否両論の
”パーフェクトピッチング途中の山井交代 = 非情落合采配”
ですが、中日ファンは比較的容認派が多く、
一方で他球団の野球ファンの方は否定的なようです。
あとマスコミはちょっと否定的に煽りすぎですねぇ。
野球評論家の方が「私なら変えることはできない(そんな勇気はない)」って趣旨で話していても、
「交代に否定的だ」なんて書いているんですから…。
ってなわけで、今回の騒動の中日ファンとしての背景事情をおつたえしたいと思います。
(結構複雑な要素がからんでいます)
1.53年間の「重み」(というか呪い)
レッドソックスの「バンビーノの呪い」のごとく、
中日には「最も日本一から遠ざかっている球団」という不名誉な記録、
しかも結構リーグ優勝はしているのに「日本シリーズ6連敗中」というワースト記録を持っているなど、
本当にファンにとっては大変なコンプレックスがあったのは事実です。
もう「半世紀日本一になれない=今後チャンスはないのでは」なんて心理に、
いつなってもおかしくないくらいの「重さ」がありました。
そんなわけで、中日ファンの方以外が「日本一にはいつでもなれる!パーフェクトは100年にひとりだ!」
なんて言われても、それは他球団のファンの方だからいえることであって、
中日ファンにとっては「できるときにやらないと、絶対に無理!」なんて気持ちになっているのです。
また、オマケですが中日の過去の特徴として、日本シリーズ進出は「数年に1回」の感覚がありますので…。
(落合政権になってからはそんなことはないですけどね)
2.3勝1敗の微妙な間
「1試合落としてもあと2戦あるだろう」ってな見方もあるでしょうが、中日はあの試合で負けたら、
その後は札幌ドーム=敵地での試合になるわけです。
パーフェクトから一気に逆転負け、さらに3勝2敗で敵地に…。
ただでさえ重い流れに加え、上述したような「呪い」が移動日の選手の頭をよぎる可能性があり、
そのまま一気に…なんて可能性はリアルにファンは考えていたわけです。
3.日本シリーズの流れ
今年のCSシリーズ→日本シリーズにおいて、中日&落合監督は「流れ」を一切相手チームに渡さないようにして戦っていました。それはやはり上述したような「53年の重みの怖さ」を知っていたからでしょう。
今までの中日のポリシーを崩し、本人の記録のために本人が希望しない無理な続投
→(万が一おこりうる)パーフェクト崩壊
→大逆転負け
→敵地へ
今までのセオリーを捨ててしまって手放したシリーズの「流れ」。
これがもう帰ってこないだろうことは、勝負師落合監督はわかっていたはずです。
それでも山井が投げたいと言えば投げさせたでしょうが(これは中日にとってセオリーなので)。
4.打順のめぐり
あの9回表の日本ハムの攻撃は7番からの打順だったわけですが、
ヒルマン監督は代打攻勢をしかけることができたわけです。しかも控えには微妙に危険な打者がいた。
ランナーひとりが出れば同点のランナー。
さらに1人でもランナーが出れば、「最ものせてはいけない男」森本までまわってくる…。
1人ランナーが出たところで、岩瀬交代といっても、右の森本ですし、
万が一そこでタイムリーが生まれようものなら、完全に流れは日本ハムです。
(ちなみに昨年は2戦目の新庄のヒットからの点がシーズンの流れをとられたきっかけでした…)
5.2004年の悪夢
2004年西武との日本シリーズ。中日は初戦を落としたものの、第二戦であの松坂をメッタ打ちにし、
日本シリーズの流れを完璧に自軍のものにしていました。
その流れのままに、第3戦では先制されるも谷繁選手の満塁ホームランなどで大逆転!
途中まで中日優勢!だったわけですが…。
その後勝負の流れをわけた采配があったのです。
中盤中継ぎの岡本投手が明らかに限界…。ピンチを背負いました。
そこで落合監督がマウンドへ。
中日の通常のスタイルとしては、「落合監督マウンドへ=投手交代」なのですが、
ここのマウンドで
落合監督:「いけるか?」
岡本:「いけます!」
といった会話をした結果、なんとセオリーを外れたまさかの続投!岡本の心意気を買った形です。
…結果、カブレラから満塁ホームラン被弾。
岡本の試合後のコメントは「いけるか?と言われたらピッチャーだったらみんないきます!と言うでしょう!」だったそうです。
この敗戦がひびいて結果、3勝4敗で日本シリーズに負けたのですね。
ましてや今回の山井投手のケースでは、本人が「いっぱいです」と言った。
ならば落合監督としては…。想像するに難しくないわけです。
6.山井投手の気持ち
山井投手は実は昨年ケガで泣いているし、安定した成績を残せていなかったため、
今年ダメなら…くらいの崖っぷちの状況でした。
今シーズンの勝利数も大きくチームに貢献できたとは言い難い…。
本人の精神状況としては「チームに少しでも貢献したい=迷惑をかけられない」がベースだったわけです。
本人としては最少失点で「岩瀬さん」につなげたい、それが本音だったと思います。
そんな「生き残ること」に一生懸命な若者が、
どうして自分の記録のために「やりたいです!」って簡単に言えるでしょうか?
山井投手だって53年の重みは知っています。また、パーフェクトのプレッシャーもあったでしょう。
さらに握力やマメの問題もあったでしょう。自分が納得できるピッチングができないかもしれない。
今年チームに貢献できていない自分よりも、岩瀬さんが投げてほしい。そんな謙虚な気持ちもあったでしょう。
本人はベンチで質問を受けて「やりたい!」と言えば、投げさせてくれることはわかっていたと思います。
しかし、そんないろいろな事情を考えた上で、「チームのために=自分のために」交代をお願いしたというのが、
真相じゃないでしょうか。
だからこそ、あの表情だったと思えるのですよね~。
熱くなりすぎました…(笑)
単なる状況分析による個人的な意見ですけどね…ご参考まで。
Tweet |