年末です。
また学習塾などの子供向けスクールにとっては年度末の3月に向けての秒読みが始まります。
・・・で、もう私達のこの業界にとっては恒例になりつつあるのですが、
社員の方の退職、さらには独立起業の話をしばしば聞く季節でもあります。
独立して塾やスクールを起業するとなればオープンで春戦線を狙う必要があるので、この時期に退職されることが多いわけですね。
もう、「社員や経営幹部が独立して同業種のスクールや塾を起業する」という流れは、この業界にとって日常茶飯事になりつつあります。
・・・その後、成功している確率が異様に低いこと自体はあまり見えてこないですからね。
どれだけ現状のスキルがあるからといって、安易な気持ちで個人で起業しても、経営をするとなると全く話は別。だからこそ安易な独立はするべきではないのですが、当事者は「安易」だと思っていないわけで。
いうまでもなく企業にとっては社員の独立起業は大きな脅威になります。
単なる人材の流出だけでなく、顧客の流出を伴うこともありますし、社員を連れて出て行ってしまうこともあります。また、競合にそのままなってしまうケースもあります。
また、独立起業した場合、開業後5年程度はそこそこ小成功するケースもあるため、一見成功するように見えてしまい、社内の雰囲気がざわつくのも大きな問題です。
だからこそ、社員の独立起業を防止するのは企業防衛的にも、社員の人生を台無しにさせないためにも大切なことになるのですが、残念ながら逆に「社員の独立を促進する施策」をうっかりやっている企業様がいらっしゃるのも事実。
その「自社内からの社員の独立起業を促進してしまう」マイナス施策とは、
自社内の研修やコンサルティングで大手企業から独立した人間を活用し社員と接点を持たせる
ということです。
要するに「独立して稼いで生きている生きた見本・モデル」を社員に見せてしまうわけですね。
もちろん、その研修担当者やコンサルティング担当者も悪気はないでしょう。
また、口では「会社のために頑張りなさい」と言ってくれるでしょう。
でもね・・・その人の存在と過去の経歴自体が、
「でも先生の言っていることとやっていること違いますよね」
となってしまうわけです。
私もよく「犬塚さんは独立してコンサルタントやらないのですか?」という質問を受けますが、
私は上記のような、独立が多い業界事情から、もし私が船井総研を辞めて独立起業したとすると、社員を持つ規模の企業のコンサルタントはできなくなると本気で考えています。
だからこそ、
「組織の一員としてどう生きていくべきなのか」
「組織の中で起業家精神をもってどうやって働くべきなのか」
を語れる、船井総研の一人の社員としての立場だからできる組織の活性化・拡大のためのコンサルティングをしていきたいと思っています。
別に個人で頑張っているコンサルタントさんを一概に否定するつもりはありません。
経営者様向けのコンサルティングとしては、同じ経営の立場から言えることもあると思います。
ただ、こと「社員向け」に関しては、独立起業された方が接すれば接するほど、社員の独立促進になっている自覚を持ってほしいと思いますし、
研修やWEB業者、コンサルタントを活用する経営者様においても、この「独立経験者」が持つ、悪い影響力は意識しておいてほしいのです。
もう、社員のかたが安易な気持ちで独立起業して失敗するのは見たくないですからね。
のれんわけなどで会社とプラスの関係での独立は大賛成ですが。
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