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    『船井総研内の保育教育業分野のコンサルティングチーム「保育教育支援部」の上席コンサルタント。
    高等教育機関、学習塾、英会話教室、幼稚園、こども園、保育園、資格学校など、幼児から社会人までの様々な教育機関のコンサルティングを担当している。
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  • 2013年11月14日11:32 PM
    教職員削減案への反対意見から感じる脊髄反射的な感情論
    CATEGORY: NEWS雑感

     

    文部科学省と財務省が火花を散らしています。

     

    <以下ニュースより>

    来年度以降の小中学校の教職員の定数削減を、財務省が主張している。10月28日、財政制度審議会で明らかになった。新たに教員を確保すべきと主張する文部科学省と対立しており、来年度の予算編成の焦点の1つとなりそうだ。NHKニュースが報じた。

    財務省は、現在70万人いる教職員の定数を毎年2000人ずつ削減し、今後7年かけて1万4000人削減すべきだと主張している。

     

    >>

     

    このニュースを聞いたとき、私は

     

    「財務省はなかなか教育のことをしっかり考えていて、ある程度教育にはお金を使おうとしてくれてるんだな・・・。削減ペースを抑えているもんな。」と財務省を見直したものです。

     

    少子化の進行スピードは出生率の改善がなければ「子ども人口20年で30%減少(地方はもっとひどい)」がベースですから、財務省の削減ペース=7年で2%は「甘い!」という批判の可能性や、「削減といってもどうせ若者の採用を減らすだけで、自然減を狙うんじゃないの?また若者の雇用を奪うのか!」的な批判が出てきてしまうかと思えば、世間一般の大勢はまったく逆でした・・・

     

     

    教育は日本の根幹で非常に重要

    現在の教職員は疲弊している

    ただでさえ教職員の数は不足している

    学級崩壊が進んでいる

     

    などを根拠にして、「教職員数の削減なんてとんでもない!」という意見が大多数だそうです。

     

     

     

     

    あらら・・・

     

     

    この状況を見て、日本の財政危機は良くならないなとしみじみ思いました。

     

    あまりにも、数字を見ずに感情や印象で世論を形成する人が多いようなので・・・

    今後、人口減少・税収減の中で、福祉医療関連の予算の削減さえも叫ばれる中、上記のような「そもそも絶対数が減少する」分野のコストの削減は必須でしょう。

     

    限られた資源をどのように分配するかが政治だから、どこかに痛みがあるのは当然です。

    さらにいえば、財務省が打ち出した教職員数の削減ペースであれば、かなり教職員の担当生徒数は少なくなる(1クラス20~30人程度)のだから、かなり我慢して教育に配慮したペースだといえます。

     

    「20年で30%子ども人口が減るのだから、10年で20%教職員数を削減します!」って案が出て批判されるならわかるんですけどね。今回は7年で2%ですよ。

    そこを「削減」ってだけで脊髄反射のように反論する人の感覚がわかりません。

    今教育現場に関わる人ならわかると思いますが、今の日本の教育において問題なのは、教職員の「質」であって「数」ではない。また、さらにつっこめば保護者の教育なども問題。

    コストの面で言えば教職員の年収ベースなどの単価の問題もあるでしょう。 

     

    また、教職員になる方の人生は約40年あるわけですから、現在安易な発想で教職員数を増やしてしまえば、20年後、30年後、少子化がもっと激化したときに、その人たちの削減は待ったなしになってしまうことは間違いないのです。

    この未来の彼らの雇用の安定なども本来は考えなければいけない。 

     

    財務省は基本的に今回悪役になってしまっているようなので、その財務省批判をしている人たちが言うのは「今の教育現場を見ているのか!」「数字だけを見ているのではないか?」という批判でしょうが、

    実際、20年で30%減少という少子化のリアルな数字、既に地方を中心に1クラス30人以下学級が大多数になっているという現実、現在の小中の先生たちの質や意識のリアルを見えていないのは批判する人たちも同じなのではないかと思います。

     

     

    <まとめ>

     

    少子化の深刻なペースと今回の財務省案とのバランスは教育分野への配慮を感じる

    (0~14歳の子ども人口は2013年→2020年で7%減少。 財務省案は2%の職員減。

    更にその先は2013年→2030年であれば30%減少だから、もっと削減しないとヤバイ。)

     

    今の教育現場において重要なのは「量」よりも、むしろ「質」

    (公務員気質の教師を増やしても烏合の衆でしかない) 

    教育の質は教師の数だけで語れるものではない。教職員の数よりも教育の場や環境などにも予算を使うべきでは?

     

    今、教職員数を増やしたとしても、若い教職員の雇用を増やすと将来の少子化加速の中で結局彼らの雇用を維持することは難しくなる(将来1クラス10人学級になっちゃう)

     

    そもそも日本は財政赤字であり、危機的な状況

     

    以上を考えると、文科省と財務省のどっちがまともで長期的な判断をしているかは結構普通にわかると思うのですが・・・。

     

    どうしても、教育などの分野だと「感情論」や「印象論」が多くなってしまうのでしょうね。

    福祉や医療分野も同様なんだろうなあ・・・私は分野外なのでわからないですが。

     

    なかなかに日本の財政再建は難しいと感じる今日この頃でした。

     

    もちろん、私自身は教育が日本の未来を支えると思っていますし、教育分野への投資は必要不可欠だと思います。 

    でも「予算の使い方」って大切であって、パイが決まっている以上、金額の限度もあるし、ましてや「数」を揃えればいいって発想はダメだと思うんですよ。 

     

     

    「職員数減らすのは仕方ないけど、こういった分野にはちゃんと投資もしようよ」が正解だと思いますね。 

    教育再生のためにはたぶん電子黒板導入とかよりも先にやるべきことってありますからね。