落合GMが就任したことによって、早速マスコミが中日に注目する機会が増えました。
前高木監督時代、昨年はほとんどマスコミから無視され、一昨年の権藤コーチとのケンカが一番の話題だったことを考えると、既に広報的には「落合効果」がみられます。
<以下ニュースより>
■厳冬と表現された中日の契約更改
中日の落合博満GMが主導で行っている契約更改は、厳冬と表現され、その合計減額がいくらになったのかがメディアの焦点となっている。大事なはずのチーム生え抜きの井端弘和を退団に追い込んだ2億3000万円の削減を筆頭に、吉見一起が1億1500万円、和田一浩が8000万円、荒木博雅が6800万円、浅尾拓也を5500万円、山井大介が2000万円という大口もあって、締めて5億円に届きそうな勢いである。
野球協約の限度額25%(1億円以上の選手は40%)いっぱいの金額を提示されても、一人として保留せずにサインするに至っている。今季チームはBクラスに低迷した。まさに信賞必罰を実行した厳冬更改である。中日球団の赤字を本社が広告費として補填している金額が、年間6億から10億円と言われているから、その赤字の大半を落合GMの豪腕で消したことになる。
>>>
皆さんからすると、中日ドラゴンズの契約更改なんて、会社の上司の家族ネタのフェイスブックの記事以下の興味がない話題かもしれませんが、今年の中日の契約更改には、企業における人心掌握術のノウハウが詰まっています。
上記のように今年の中日は久しぶりのBクラス&観客数減という理由があるにせよ、ほとんどの選手に対して大幅に年俸を下げています。
残念ながら井端選手に関しては、怪我の問題などもあり、退団にいたってしまいましたが、ここで注目していただきたいのは、
野球協約の限度額25%(1億円以上の選手は40%)いっぱいの金額を提示されても、一人として保留せずにサインするに至っている。
という点です。
要するに年俸を下げられても、選手は納得してサインしているという状況です。
序盤の井端選手の更改や主力選手の減俸っぷりから、多くの選手が「今年は厳しい・・・」と覚悟をしていたことも大きいのですが、中日スポーツなどの契約更改後の各選手の談話や表情を見ると、みんな「清々しい」表情をして、納得して話しているのが印象的です。
(一部、アップしたのに表情が暗い藤井選手のようなケースを除く)
なぜ、そんな清々しい顔して「年俸ギリギリまで下げられました」を話しているのか、
その理由はほとんどの選手が同じことを言っています。
「落合さんから必要な戦力だ!と言ってもらえたことがうれしかった」
「来期は何を頑張れというメッセージをもらえた」
この種の内容が理由だそうです。
要するにお金以上に、畏怖&尊敬する前々監督から(現役時代は話せなかったけど)、直接自分の評価を聞けて、「期待している」「オマエのここが長所なんだからこう頑張れ!」と言って貰えることが、お金以上に彼らにとってはうれしかったようです。
ある一定レベルを超えると、金額以上に、こういった「やりがい」「周囲からの期待」がモチベーションになっているという好例でしょう。
また、その発信者が、自分たちのことをしっかり見てくれている、元監督であるということも大きい。
もちろん、井端選手の例を見てわかるように、最低限の期待のお金はあるでしょうが、
基本的にある最低限ラインの自分のお金基準がもらえる場合、人はこのような心の充足を必要とするということなのでしょうね。
今回の中日の契約更改、本当にいちいち落合監督の各選手へのメッセージは気がきいてます。
例:山本昌:年俸制限以上の減額だが、「50歳までやれ。来年以降もやってもらうために(今期の年俸減額は)必要な措置だ」とメッセージ
(エース)吉見:制限いっぱいの減俸だが、「(おまえなら復帰予定の)6月から2桁勝つのは簡単だ」とエール
◆以下、今年の中日の契約更改のポイント◆
0.前提条件として「下げる理由」=Bクラス、セリーグ前チーム負け越し、観客動員数減少をしっかりと告知
1.元監督がGMとして交渉の場に出ていた
(選手のことをしっかりと見ていることがアピールできるしメッセージもかけられる)
2.各選手の「期待」「次の目標」「要改善点」などのメッセージを入れていた
(減俸しても納得と一定の期待という評価がうれしい)
3.来年以降の伸びしろなど長期目標を伝えている
(今年減俸でも来年以降取り返せばいいという、単年ではなく長期の視点で選手を納得させる)
4.序盤に減俸する大物・主力との交渉を進め、全体に「心の準備」をする時間を用意
(その結果、井端選手は出て行ってしまいましたが・・・)
5.上げるべき人物は400%アップとか評価しているが、ベースが安いので全体の負担は少ない上に、契約更改の後半に上げるメンバーを持ってきた(サムライジャパンの関連もあるが)
とても学びが多いですね。
今年の中日ニュースはビジネスの世界の方々にとっては要チェックです!
Tweet |