続いてWBCについての雑感です。
過去、斜め後ろから見たようなデータ分析が意外と好評のようなので、
今回はデータから見る「短期決戦国際試合で4番と捕手兼任はダメ」という事実を共有したいと思います。
(決して阿部さんの批判ではありません。むしろ私は昔ゴジラ映画好きだったので阿部さんのあの愛嬌のあるミニラみたいな顔が好きです。)
山本監督の宣言により、なぜか今回のサムライジャパンは「阿部中心」のチームになりました。
確かに昨シーズンの実績や過去の経歴を考えればふさわしいといえます。
「そうは言っても横浜・広島の格下投手が相手の成績でしょ?」なんてことは考えてはいけません。
中日や阪神の一流どころのエースもしっかりと打たれていますので。
ただ、そこで問題が「4番・捕手・キャプテン」を兼任させ、しかもそれを最後までこだわったことです。
巨人ファンの方はご存知だと思いますが、阿部さんは1塁を守ることもできます。またWBCはDH制もあります。捕手をはずすという選択肢、もしくは打順を下げて楽にさせるという選択肢もあったのです。
ちなみに現代の野球はデータ重視です。
相手の得意な球種、得意なコース、打席の中での傾向、状況ごとの傾向など、様々なデータが活用され、対戦に生かされます。
逆に打者目線からすると、相手投手の様々な特徴や球種などから予測をある程度立ててバッティングに活かします。
一例を上げると、2011年の中日のソフトバンクとの日本シリーズ。
この時、圧倒的に戦力で劣る中日は、ソフトバンクとなんとか7戦まで接戦にもちこめたわけですが、
このときの中日の防御率は『2.11』でした。
圧倒的なソフトバンク打線をここまで抑え込んだのは投手陣の頑張りによるところも大きいのですが、
それ以上に活躍が光ったのは正捕手の谷繁選手のリードだったわけです。
・・・しかし、その反動か、谷繁選手は「23打席連続ノーヒット」という記録(クライマックスシリーズをあわせると43打席連続無安打)という結果に・・・。
それほど、短期決戦となると守備と配球で頭がいっぱいになってしまうというわけです。
余談ですが、谷繁選手は森コーチの書籍によると上記のような成績でもあるにも関わらず、
あまりにも日本シリーズで打てないほかのメンバーに対して
「お前ら いい加減 打てよ!」とぼやいていたとのことです。
(森コーチは「オマエもだよ!」と心の中でつぶやいたそうですが)
これは極端な例ですが、それほど、守備を重視して打撃をある程度無視してもいいのが短期決戦なのです。
昨年の日本シリーズのように圧倒的に戦力が上回っているのであれば、兼任もありかもしれません。
しかし、上記のように「弱者が強者に勝つ」ためには、頭を駆使するしかないのです。
この点が今回のWBCの戦略上の失敗だったといえます。
ちなみに上記のような重責の被害者となった阿部選手のWBC成績は・・・
WBC通算
23打数 6安打 2本塁打 7打点 打率.261
ですが、明らかに格下相手だったオランダ戦の成績を除くと
16打数1安打 0本塁打 2打点 打率.062
という成績に・・・。
オランダ戦で帳尻あわせれたのでデータ上は大丈夫ですが、本人は気づいていますから、ショックも大きいと思います。
また、WBCの防御率を前回、前々回と比較してみると
2006年 防御率 2.49(主戦捕手:里崎)
2009年 防御率 1.71(主戦捕手:城島)
2013年 防御率 3.84(主戦捕手:阿部)
※上記の成績は各捕手のみの成績ではありません
もちろん、投手陣の問題もあるのですが、
4番と捕手という重責を兼任させてしまったことによって、阿部選手のパフォーマンスを引き出せなかったのは間違いないでしょう。
さらに言えば、元々怪我がある選手ですから、この心労と身体の酷使による、今後の影響も心配されます。
なので、阿部選手を非難するのも間違いで、そういった環境をつくりだした首脳陣の責任は重いのです。
(代わりのベスト捕手がいない・・・という問題も確かにあるのですが)
まあ、結果はしかたないですし、むしろあるべきところに落ち着いて、最善の結果になったわけですから、
今後は内川選手や阿部選手にダメージが残らないようにしてほしいものですね。
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