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    『船井総研内の保育教育業分野のコンサルティングチーム「保育教育支援部」の上席コンサルタント。
    高等教育機関、学習塾、英会話教室、幼稚園、こども園、保育園、資格学校など、幼児から社会人までの様々な教育機関のコンサルティングを担当している。
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  • 2013年12月19日7:43 AM
    楽天の田中投手のメジャー挑戦と楽天の企業経営の事情
    CATEGORY: 日々雑感

     

     

    楽天の田中投手の身の回りがバタバタしています。

     

    野球に全く興味のない方のために大雑把に流れを説明しますと、

    日本のプロ野球選手がメジャーに挑戦するためには、

    1.海外FA権利を取得してフリーになっていく

    2.球団がポスティング(入札)制度をつかって、メジャー球団に選手を移籍させる(入札金は元の球団に入る。ヒトを売り買いするみたいな感覚です)

     

     

    今期最高の成績を出した楽天の田中投手。

     

    ポスティング制度を使って来年メジャー挑戦する準備は球団も本人も整いつつありました。

     

    しかし、ポスティング制度が色々な問題があって、今年からルール変更が。

     

    今までは引き渡し金であるポスティングの金額は上限なしだったのですが、新制度から「上限20億円」になったのです。ちなみに選手の年俸は当然別なので上限とかありません。ので、移籍する選手自体のマイナスはなく、むしろ複数の球団と交渉できるというメリットができました。

     

    要するに楽天が田中投手をメジャーにポスティングをかけても、20億しか手に入らないわけです。

     

    元々楽天の田中投手が今年過去最高成績だったため、ポスティング額もかなり高額になる予想がされており、元々は50~100億と予想されていました。

     

    それがルール変更によって、20億しか入らないルールになったのでさあ大変。

     

    田中投手にとっては楽天球団に入る入札金額はあまり関係ないのですが、

    球団側とすれば、田中投手を放出して得られる金額が半分以下になってしまったわけです。

     

    そこで事情が急変し、楽天の球団&親会社側が、「やっぱり田中投手メジャー挑戦させるのやめようかな・・・」と言い出してしまっているわけです。

     

    ・・・で、一般では「メジャーに挑戦させてあげて!」「楽天は守銭奴か!」「三木谷さんひどい!」などの感情論がおこり、また他球団のファンからは、「田中投手がいなくなれば、勝ちやすいのに・・・」という理由でやはりメジャー放出を願うという状態です。

     

     

    分かる方は分かると思いますが、楽天球団の判断は企業としては当然でして、

     

    <田中投手がいなくなることの損失>

    ・来年高確率で優勝を逃す

    ・来年観客数の減少

    ・球団の顔のなくなったスポンサー離れ

    ・話題がなくなった球団のマスコミの露出効果の減少 

    これらを加味した結果、「何十億あればなんとか補填できるのではないか」という判断だったわけですが、それが「20億」となると、普通に考えて、20億で田中投手を出してしまうと、損失の方が大きい可能性が高い。

     

    ただ、同時に

    <田中投手のメジャー挑戦を止めることの損失>

    ・田中投手の年俸が重い

    ・楽天球団、親会社楽天へのイメージ低下、不買運動発展?

     

    があるので、上手に世論をかわしつつ、田中投手をもう1年球団にいてもらおうと考えていると思われます。

     

    中には「若者の挑戦を応援する三木谷さんの男気が見たい!」という意見もあるようですが、

    楽天は株式会社なので、男気だけで明らかに経営損失になるような経営判断をしたら、それは背任行為ですからね・・・このあたりの事情をわかってあげてください。

     

    ポイントになるのは「世論のマイナスが楽天経営に与える影響を加味した場合」の判断になりますね。これが数十億換算であれば話は別。

    でも、楽天が田中投手を応援したからといって、日本全国の人が、

    「楽天はすばらしい!」「楽天市場で買い物しよう!」というプラス効果はないので、かなり意思決定としては出さない可能性が高いと思います。

     

    世の中、「経営」の視点でみていると色々なことがわかるということですね。