昨年からの世界同時不況の中で、教育業界でもダメージを受けている業界がいくつかありますが、今回は学習塾業界についてです。
学習塾業界は基本的に企業数過多です。比較的業界全体が安定成長をしてきたため、上場しているようなガリバー企業が業界内に複数あり、ある意味日本のゼネコン業界のような状況だったといえるかもしれません。
しかし、そんな華やかな業界成長期も既に終わり、今は大競争時代に突入しています。大手企業が生き残りをかけて、新規出店やダンピングをしている一方で、低所得の保護者層が増えてきているという環境の悪化が重なり、全国的に苦戦傾向のようです。
日本社会全体が「一億総中流」から「二極化(年収300万世帯)」時代に突入、さらには少子化が進行しているにもかかわらず、未だに中流層向けの価格設定や打ち出しで勝負している学習塾は淘汰されるしかありません。
一方でインテリ系学習塾企業は客数の減少を補うために
「ならば高所得者層の保護者をターゲットにして客単価アップを!」
という、誰でも思いつく戦略の基で、高所得者層が飛びつく「高単価の進学講座」「中学受験」などの商品を武器として客単価を上げようと必死です。
しかし、「客数減を客単価アップで補う」「お金持ち世帯をターゲットにする」という発想はビジネスをやっている人間であれば、誰でも飛びつく内容ですから、このターゲット市場がすぐに競争過多になってしまうというオチが待っているわけです。
「美味しい市場には誰でも飛びつく」
「誰でも飛びつくから競争が激しくなって、すぐに美味しくなくなる」
というライフサイクルのセオリーのままにです。
減り続ける市場に対して右往左往し、その都度「美味しそうな市場」にとびつき、また競争過多になってしまい右往左往する…。
目先の「点数アップ」のみに固執しすぎてしまい、教務力や品質は高くとも、時代の流れについていけない…。
教育ビジネスのマーケティングの本質を忘れ、当たらないチラシや校門サンプリングなどの一般的な販促手法ばかりを追い続ける…。
こういった企業は淘汰される、そんな厳しい業界が現状の学習塾業界なのです。
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