先日、お付き合い先の経営者の方からこんなお電話をいただきました。
「いっそのこと講座の価格を下げて差別化をして、
客数を一気に増やして売上をたてるのはどう思います?(゚∀゚)」
小売業や飲食業で安売りによって成功している企業があるのも事実。
非常にロジックとしては正しい発想です。
業界が一時的に厳しく、客層が減っている状況で、
売上 = 客数 × 客単価
の公式から考えて、客単価を多少下げても、一気に客数を増やすことができれば!
という考え方ですね。
ロジックは正しいものの、私は即答で、
「スクール経営に安売り発想は厳禁です」
とお答えさせていただきました。
ちなみに小売業にとって決して安売りは悪ではありません。
時としてマクドナルドのように成長の原動力になることもあるでしょう。
また、専門学校などの「必要不可欠な」分野においては、
低所得者への門戸を広げる意味でも低価格の学校の存在は社会的にも必要です。
しかし、サービス業、特に必需ではない分野のスクールについては、
安売りは「多くの弊害をもたらす可能性が高い」のです。
・安売りによって「客数」が増える、それに伴って企業側の「スタッフ・講師数」を増やさなければならない。
講師やスタッフの採用や教育、サービスクオリティの維持は非常に困難になる。
この運営側の人不足、技量不足があとあと「悪い口コミ」に化ける可能性が高い
(サービス業は小売業のように工場での大量生産→販売といった簡単なものではない)
・客数が増えることによって、設備や空間スペースをそれだけ多めに準備しなければならない。
・以上より、客数が増えることで「人件費」「採用費」「研修費」「家賃」「管理コスト」が増える。
・安売りによる大衆化が、客層の劣化を招き「客層も商品」であるスクールの商品価値を下げる
・安売りによって「モンスターカスタマー」が発生しやすくなり、
スタッフのクレーム対応への精神的ストレスが増加する
・安売りで差別化した企業は「より安い」企業が出てきた時に特長がなくなってしまう
ざっとあげただけでも上記のようにいろいろな弊害が考えられるのです。
小売業や飲食業などでは効果的な手法が、
ことスクールビジネスになると全く通用しないことがある。
そんなよいサンプルだと言えるかもしれません。
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