色々と話題のNOVAですが、コムスンの折口社長とともに、猿橋社長にも批判の矛先が向けられており、
想像以上のことになっています。
NEWSで報道されていることだけではなく、
大量の解約申し込みが生まれている(当たり前だ)とか、
解約金が期日に支払われないとか、
講師の給料支払いが遅れているとか、
色々と不穏な噂が飛び交っているのですが、大丈夫なのでしょうか…?
流通などから複数社が提携を打診しているという話もありますが、
①在籍生徒の大量流出による返金(結構な金額)
②今回の騒動によるブランドのイメージの低下
③給付金がつかえないというスクールのおけるハンデ
④在籍外国人の管理コスト
⑤既に集客効果がなく赤字を垂れ流す地方拠点(の閉鎖コスト)
これらを考えると火中の栗どころか、核融合炉の中の栗としか思えません。
上記のような火がつく前にふっとんだアビバのときとは全くリスクの大きさが違います。
(アビバの時は全国展開しているパソコンスクールは唯一だったという点もよかった)
ただ、ちょいと前にグリコのGABAがNOVAと提携していたように、案外上記のようなリスクって、
外部の業界の人間からはわからずに、うっかり手を出したりしそうですけどね(笑)
ここで一度、今までの「NOVA」の戦略と「なぜこうなってしまったのか」について考えてみたいと思います。
これを知っておくのは今後のスクール経営において決してマイナスにならないので。
…とはいっても「猿橋社長がワンマンで時代の波の変化にきづかなかったから」と言ってしまっては、
全てが終わってしまいますので、その他の側面について触れてみたいと思います。
原因その1:出店と講師調達のバランスが取れなかった
これは最大の原因のひとつです。
売上至上主義にもとづいて、NOVAは数年前から新規出店を繰り返すようになりました。当時から、
「既存店の売上高は減少」
「NOVAは新規出店して数年後は急速に業績が落ちる」
などの状況はあったのですが、既存店の売上の落ち込みを、新規開校の売上でカバーするという、
どこぞの大手家電量販店のような危険な「売上至上主義」におちいってしまったのです。
新規開校において他の業界と違って大きな問題になったのが、「講師の調達(&管理)」というコストがあったことです。
このコストは校数が増えれば増えるほど、また地方になればなるほど増大してくるため、経営にものすごい悪影響を与えるようになります。
新規開校→講師がいない→講師採用コスト増大&品質の低い講師を採用せざるをえない
→離職が多くなる&お客様からのクレームが多くなる→スクールとしての評判が落ちる→悪い口コミが生まれる
こんな連鎖反応が起きて、スクールの経費負担が多くなると同時に、お客様満足度がドンドン低下していくわけです。
実際にここまで問題が大きくなってきたのも、消費者のクレームが急増したことが火種になったのです。
いつも私は言っていますが、スクール経営は「新規開校」のリスクとコストが乗数的に上がっていくビジネスであるため、売上を拡大するためには、この問題を解決するなんらかの策がなければ、すぐに行き詰ってしまうのです。
原因その2:広告の時流の変化(広告での集客が激減)
数年前のアビバ(現状はベネッセコーポレーション傘下企業として復活)も同様でしたが、
「広告による集客ができなくなった」という業界環境も大きな原因でした。
NOVA、アビバ、代々木アニメーション学院。
これらの没落していった企業が一時期拡大できた理由は、「大量の広告展開と業界の一番企業(っぽい)イメージ戦略」でした。
日本人に限ったことではないのですが、スクール業界において広告展開を大々的に行う企業が成功する業界時流が確かに存在します。
「習いたいのに教えてくれる場所がない→広告で見つけたからそこに行く」(第一世代)
「広告がたくさん出ている企業=大企業=安心」(第二世代)
この2段階の時期です。
しかし、業界の時流が第三世代に移ってきて、参入企業数が増えてくると、消費者のスクールの選び方が多様化してきますので、広告展開の量によって集客ができなくなってきます(ライフサイクルが展開期に入る)。
本来ならばこのときに従来の大量広告の募集スタイルを変革しなければならないのですが、
どの企業も過去の成功法則に縛られすぎて、集客効果が激減したのに広告は大量に掲載し続けたというのが寒い現実です。
原因その3:ネット環境の進化=本当のクオリティが問われる時代に
地味ながら今後、我々が心しておかなければならないのが、ネット上での口コミが進化してきたことでしょう。
これが今回のNOVAという大企業を崩す一因になったことは明らかです。
英会話業界は特に進化しているのですが、「スクール選びの口コミサイト」があるわけです。
意識の高い人になればなるほど、そういった情報に敏感です。
結果、口コミサイト上(さらに業界内)ではNOVAなんて最悪の評価だったわけで、
意識の高い人(=成長にお金を惜しまない人)はNOVAに行かないという構図ができあがっていたのですね。
一般の人達の間でも、広告しか信じない人を除けば、多かれ少なかれ「NOVA」の評判の悪さについて知る機会ができていたのも事実なのです。雨後のタケノコのように競合企業が多い業界において、これって致命傷なんですよね。
広告で認知度上げても口コミで否定されるという、まことに香ばしい現実があったのですね。
さらに解約トラブルがこれほど大きく火をふいたのも、解約訴訟で泣きをみている人達がネット上で組織化され、
お互いに励ましあっていったのが背景にあったのも忘れてはいけません。
「悪いものはいつかは滅びる」
そんな当たり前のことが通らず、広告や事業規模が大きければいい!みたいな業界だったわけですが、
ネットの進化によって健全な方向に進んできたといえるかもしれませんね( ´∀`)
まあ、このほかにも英会話業界のライフサイクルにおけるブランド戦略の失敗とか、競争企業の展開が上手かったとか、
内部組織の脆弱さだとか様々なところに原因があるのですが、ここで書くのは無理なので、
ご興味ある方は私が目の前にいるときに、「NOVAの没落の理由 ~●●編~」みたいな形で聞いてくださいませ(笑)
(●●の中は、マーケティング、商品、組織、時流、競争、ブランドなどなんでも大丈夫です)