教育業界・保育業界、私が関係する両業界において、
事業再編、M&Aの話が活況です。
この背景には色々な理由があり、
第一世代の経営者が高齢化・後継者難のケース
そもそも少子化・市場縮小が顕著であり、余程の事業ビジョンがないと伸びしろがない
(逆に言えば、やり方次第では伸ばせるのですが)
企業成長にドライブをかけようとする主力企業にとっては、チャンスになりうる売り物は積極的に買収したい
業界がアナログ気質であり、今後DX・デジタル化により大きなイノベーションが期待される
などなどの思惑が複雑にからんでいます。
教育業界における某大手家庭教師企業の買収などは目立ったニュースですし、
その他に大手中堅の売買は頻繁に行われています。
また、中小ベンチャーに出資して、あわよくば上場、難しければ売却という流れも一般化しています。
こうした動き自体は業界が活発になって喜ばしい一方で、業界の人間として何となく感じるのが
「教育保育業界が特殊すぎて、適正な価値判断・査定が行われていない」
ケースが多いことです。
端的に言えば、業界人からすれば
「いや、その金額絶対に高すぎるでしょ。絶対にリターン取れませんよ?」
みたいな金額がついているケースが多いのです…。
もちろん、売買の際にデューデリは行われていると思うのですが、その精度がどんなもんだろう?と…
実際のところ、教育・保育業は数年で保有している顧客が一巡してしまいますし、
基本的に「人材」に依存するところが大きい。
さらに教材などの価値においても、数年でトレンドが一巡するため、その時点での価値は参考にしかならない。
ある時期での価値査定以上に、「その後その会社がポジションを維持・変化できる土壌があるかどうか」が問われるわけです。
しかし、どうしてもM&Aの基本は、その段階での価値中心で査定されるため、なかなか適正に判定されないのではないかと。
案の定、教育業界や保育業界の売買については、同業種間の売買は成功するケースも多いのですが、
異業種への売却
については、買った側の企業が明らかに損をしている=その後全く伸び悩んでしまっている
ケースが多いのです。
この業界間の情報格差は結構M&Aの闇の部分のように思ったりします…
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