私のような職業についていてあらゆる企業の事情を知っていると
「初めて見えてくる事実」みたいなものがあります。
こればっかりはどれだけ優秀な人間でもわからないってくらい立場の違いがあるからこそはじめてわかること。
それは
「社風の違い」
「伸びている企業の共通点」
なわけです。
この「伸びる企業のあるべき風土」の基準というのを知っていて、
それをバロメーターとして企業の社風を診断することは、わかりにくいかもしれませんがとても役に立ちます。
ちょっと例を出しましょう。
よく中小企業において社員さんのご相談で、
「人材がなかなか定着せず、離職率が高い。うちの会社の体制に問題があるのではないでしょうか?」
みたいな話を聞かされます。
相手の話の趣旨は、
「ウチの会社の労働条件や社内体制に問題が多い(厳しすぎるとか幹部の人格とか)」
「その問題が原因で社員が辞めていく」
「だからその問題を解決しないと社員が定着しない」
ってな具合で、休暇がどうだとか、労働時間がどうだとか、上司の態度がどうだとか、
より従業員にやさし~い方向に改革を進めたいと思っているわけです。
…しかし、ハッキリ言いましょう。
上記のような社員からの声に正面から向かい合って、
労働条件をゆる~くした会社はかなりの高確率で離職率は上がったままですし、
企業の業績は下がります。
なぜ、そんなことが起こるのか?
それは上記の社員さんがウソをついているからではありません。
「人材レベル」の基準を知らないから、「あるべき企業風土」を知らないから、
こんな正解ではない提案をしてしまっていることが原因なのです。
上記のような課題=離職率の高さが発生している企業においての問題点は、私から言わせれば、
「社員の仕事への意識レベルが低すぎて、ひとつの会社に定着するほどの想いを持ってませんし、
このままでは会社側としては手厚い評価をできません。
採用基準の見直しと面談での意思確認、入社後の研修体制を見直しましょう」
ってなカタチになります。
要するに
採用から入社後研修までの流れがゆるすぎて社員の仕事への意識が甘すぎる。
その結果、ビジネスの現場として不適格な人材が社内に集まるカタチになってしまい、
こんな人材状況だったら辞めていくのは当たり前なのです。
もっと、レベルの高い人材を採用するか、それは難しいので少なくとも入社後の研修体制をしっかりする!
これが正解なわけです。
言いたいことは伝わりますかね?この場合は、
離職率=企業の労働条件の問題 って考えることが危険なんです。
離職率低下というのは、雇用側と労働者側の「あるべき姿」が両立して初めて成り立つものですから。
企業において不適格な人材までが定着してしまう会社は、組織として腐敗していきます。
だから、決して離職自体は悪いことではありません。
悪いとしたら、そもそも不適格な人材を採用してしまった面接の問題ですし、
その不適格さを修正できなかった社内の人材体制の方が問題なのです。
したがって、冒頭のような相談を私が受けた場合、
「いや…、●●さんみたいな意識の人間にとって居心地のよい会社って、逆にマズイし…(゜д゜;)」
って心でつぶやいたりします(笑)
ちなみに労働条件が問題となっているケースは、
実はもっとレベルが高い企業において起こっている問題です。
(優秀な人間が正当に評価されないとか、先の生活の安定が見えないとかですね)
…と、まあ。
こんなことも、いろいろな企業の組織を見ていないとわからないことなんですよね~。ご参考まで。
そんなわけで、社風リトマス試験紙みたいにご活用くださいませ(笑)
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