実名を上げると問題が大きいので、個々の名前は上げませんが、教育業界においてたびたび
「異業種からの教育企業の買収」
が起こります。
…がその結果はかなり高い確率で期待した成果を得ることができていない…のが実態です。
買い手の大手企業からすると「こんなはずでは…」な感じです。
こうした異業種からのM&Aがなぜ失敗するのかは、
今後中小企業におけるM&Aの参考にもなるかと思いますので、
よくある「失敗する理由」を以下に上げておきます。
◆そもそもの市場性を見誤っている
→異業種が教育企業を買収する時に、
しばしば業界内の人間からすれば“その業界はもう成長期終わっているのに…”と思ってしまうケースがあります。
業界内からすれば転換点を過ぎたあたりとしても、業界外や当事者同士の交渉においては、
「過去数年間の成長」に視点があるため、ついつい市場が成長しそうな感覚を持ってしまうのです。
当然、市場が頭打ちである以上、その後の業績アップは厳しいものです。
◆売上・教室数・生徒数を積み上げデータだと勘違いしている
→買収の時に上記のデータが参考になりますが、教育業界に精通した人間であれば、
上記のデータは2~3年すれば最悪ゼロにもなりうる数値であることがわかります(退会・卒業がある)。
しかし、異業種の経営陣の場合、理屈では理解できても「補充するだけの新規入会者が入るだろう」という予測の元、
従来の生徒数や売上を絶対的に重要な指標として考えてしまうのです。
◆業界内でのブランドを過大評価している
→教育業界において、「教室数や成長スピードが速い=品質やクオリティが高い(経営の安定感がある)」ということは、
必ずしも成立せず、むしろ教室数が多く、ブランドは有名でも、業界内では悪い評判が広がっていることも少なくありません。
この場合、買収側は「ブランド」に評価を置いて買収するのですが、実態としては「堕ちたブランド」であり、
紹介や新規集客は困難である…そんなことが少なくありません。
◆「人材」の不安定さを想定していない
→大手企業と比較すると教育企業の多くは退職率が圧倒的に高く、買収したとしても、
そもそもその人財が残ってくれる保証が全くないのが実情です。
しかし、この人材のリスクを計算できずに、「人材を買う」という感覚を持ってしまうのです。
当然、買収する側の企業も銀行や様々な専門家をつかって、企業価値の算定を行うのですが、
残念ながら「教育業界の特徴」を正確に把握することができておらず、上記のような失敗をしてしまうのです。
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