ある学習塾の全体会議で幹部さんが下記のような趣旨の発言をされていました。
「みんなが無料でお客様に提供しているサービス内容やイベントはそれ自体はすばらしいことだけど、無料であるというこちら側の油断があって、本当に良い企画にするためにじっくり検討時間を設けているだろうか?」
「有料のサービスやイベントを企画することは非常に難しい。企画側にも責任が重くのしかかってくる。でも、その重圧を克服できるくらい良い内容を企画できれば、お客様は絶対に利用してくれるはず。それが結果的に自社のサービスクオリティのアップにつながるはずだ。」
この発言を聞いてさすがだなあと思いました。スクール経営の流れというものを熟知していらっしゃると。
スクールにおいて「お客様のために」無料の企画やイベントが開催されるケースは多いです。
これは現場の担当者が善意で企画することが多い。
しかし、上記の発言で語られているように、主催者側が「無料だから」と思って油断することが多いのも事実。「無料だからこのくらいは許されるよね」という感覚です。
結果、イベントやサービスクオリティが下がっていってしまうのです。
しかし、今の時代お客様の感覚は「タダでもいらないものはいらない」「時間が非常に大切」というものですから、企画側が上記のような「タダだから」という感覚を持っていても、お客様にとっては「貴重な時間を使ってわざわざ来たのに」という感覚になります。
これが非常に危険。
「無料」という元々はお客様のためだった企画が、徐々に「油断」につながり、クオリティの低下につながる。結果、いつのまにかお客様のためではなくなるというマイナスの連鎖が起こる可能性が高いのです。
無料サービスというのはそういった危険があることを経営側は理解しなければなりません。
逆に500円でもいいので「有料」にすれば、運営側にとっては一定の重圧や責任がのしかかります。これが良い刺激となって、企画自体をブラッシュアップしようとする流れが生まれます。結果、イベントのクオリティが上がり、クチコミも増えるわけです。
一時的なお客様の満足度を考えると「無料」は決して間違いではありませんが、長期的なクオリティの維持という視点から見ると、勇気を出して「有料」にするというのはよいことなのです。
サービス業にとっては「サービス提供側の油断や甘え」がクオリティ低下に直結するのですから。
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