最近、スクール・学習塾業界の企業にとって、春は決して「うれしい」季節ではなく、むしろ経営的に「マイナス・悲しい」季節になっているように感じます。
その理由はシンプルで小6生・中3生の「卒業退会」が大量に発生するからです。
特に苦しい学習塾の場合、中3生の生徒数比率が40~50%以上のケースがありますので、最も単価の高い学年が大量に退会をすることで、月謝収入が一気に半減してしまうのです。
従来の学習塾業界は、生徒が入室する時期が春中心だったため、その退室分の一定数を春にすぐに補充できました。
しかし、近年の学習塾業界の生徒募集期は夏期講習前後に比重が動いていますので、この春~夏にかけては、月謝収入の落ち込みが大きく、経営を苦しくしています。
たとえ年度末に生徒数が昨年と同じ人数になったとしても、春~夏の四半期に生徒数がゴソっと減っていては、確実にキャッシュにダメージがくるのです。
スクール業界においても3月の卒業退会は月謝減少の深刻な問題ですが、まだスクール業界においては入会シーズンが春に偏っていますから、学習塾のような深刻さはないように思います。
それでも卒業退会によって大きく生徒数を減らしてしまうケースがありますが…。
これからの少子化加速時代に、安定した教育事業の経営を進めていくためには、上記のような卒業退会による経営へのダメージを最小限にする工夫が必要になります。
そのために重要な発想が、学習塾にとっては「低学年からの各学年の生徒数の確保」、スクール業界にとっては「対象学年の拡大化による特定学年の売上依存度を30%以下にする」になります。
つまり学習塾業界においては「生徒が集まる」小学生部門の確立。英会話教室やそろばん教室などにおいては、「中高生向け」のコース設定の付加が解決のための最適な手法になります。
来年の春戦線の卒業退会の経営へのダメージを最小限にくいとめるための準備を今から進めていく必要があります。
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