セミナー準備や原稿で忙しいと、疲れたときに仕事と関係ない文章を書きたくなります。
戦争論や経営論の中には
「戦略」>「戦術」>「戦闘」
の優先順位と重要性が語られることが多々あります。
登山に例えると「どの山でもいいので頂上まで速く行けた人が勝ち!」という場合、
「どの山に登るか」を決めるのが戦略
「どのルートを登るか」を決めるのが戦術
「どんな装備でそうやって歩くか」を決めるのが戦闘 になります。
こう考えると、どの山に登るかを決める段階で富士山を決めた人間は不利であり、天保山を決めた人間は圧倒的に有利になります。この有利不利をルートや装備で克服はできません。
この論理で考えたときに、プロ野球の世界でもこれが如実に現象としてあらわれています。
戦略が上手でビジネスとして参考にすべきなのが巨人・広島です。
深く考えずにロマンを追い求めた結果5位になってしまうのが阪神です。
個々のチームを見ると私は中日が好きですが、いざ経営という視点で見ると、私は巨人が好きです。
(嫌味ぬきで)
なぜなら巨人軍は圧倒的な戦力を大々的に揃え、他球団を威圧することで、
「シーズンが始まる前」から既に戦いを有利に運んでいるからです。
簡単に言うと3位以内が権利を与えられるCS制度がある以上、今のセリーグにおいては
「弱者は3位狙い」が大切な戦略になります。
この条件化だと、弱小球団が戦略的に3位を狙うためには、敗戦の可能性が高い巨人戦にエースクラスをぶつけるのではなく、他の弱小球団にエースをぶつけ勝ち星を稼ぐことが自然な流れになります。
この条件を整えるために過剰に戦力を整えてPRするのが巨人。
こうした発想で戦略的に3位を狙うのが広島です。
2連覇中でありながら、あきらかに戦力の補強をせずにセリーグの中心になれなかった中日。
戦力の如何は関係なく、常に優勝を求められ、さらに巨人戦の優先順位の高い阪神も、戦力の適正な配分ができずに苦戦しがちです。
この戦略面での差が、巨人と中日の対戦成績とゲーム差にあらわれているのです。
(直接対戦成績はほぼ5分なのに、ゲーム差は10ゲーム差)
ちなみにデータの証拠としては、他の4球団の防御率の高いエースクラスの対戦数を見ると
広島 前田 勝利数 14 対巨人戦登板1試合 対中日戦登板6試合
広島 野村 勝利数 9 対巨人戦登板1試合 対中日戦登板6試合
(裏ローテのエースである大竹11勝は逆に巨人戦の登板の方が多い)
DNA 三浦 勝利数 9 対巨人戦登板2試合 対中日戦登板4試合
DNA 高崎 勝利数 7 対巨人戦登板1試合 対中日戦登板3試合
ヤクルト 館山 勝利数 12勝 対巨人戦登板2試合 対中日戦登板6試合
ヤクルト ロマン 勝利数 9勝 対巨人戦登板4試合 対中日戦登板3試合
阪神 能見 勝利数 10勝 対巨人戦登板5試合 対中日戦登板4試合
阪神 メッセ 勝利数 10勝 対巨人戦登板6試合 対中日戦登板4試合
シーズンのスケジュールで全ての球団成績が調整できることはありません。
だからこそ、絶対的な強者(一番店)を中心に市場はまわることになります。まさに経営!
この戦略の差が巨人と中日の埋めがたい差であることは間違いないのです。まさに完敗。
2012年はプロ野球の世界でも「戦略の重要性」と「市場は一番店を中心に回る」という事実を感じた年でした。
そんなわけで戦略論で考えたとき、
私は巨人や広島が好きで、中日は嫌いというか残念に思うのです。やっぱ経営コンサルタントですからね。
なので、今回のWBCはシーズン成績を参考にされて巨人の選手が多数採用されているのに一抹の不安を覚えます。戦略で勝ってきたチームですから、個々の選手が窮地に立ったときどこまでパフォーマンスが出せるか未知数だからです。
・・・そろそろ仕事に戻りますm(_ _)m
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