自民党の政権奪還によって、円安・株高になっています。
「今までの・・・」と比較しての期待値込みでしょうが、まあよいことですね。
自民党政権が打ち出している様々な経済対策は、
「日本経済をなんとかしよう!」という意気込みを感じるので、その点は非常に好感が持てます。
ただ、いわゆる公共投資の増強や金融緩和によるインフレターゲットなどは、
短期的な景気刺激策としてはいいかもしれませんが、
長期的には財政が持たないですし、インフレや悪いインフレを引き起こす可能性大でもあります。
このあたり、スクール業界の過去の事例を引き合いに出しながら新政権の経済政策=いわゆる「アベノミクス」を語ってみましょう。
まず短期的な景気浮揚策としての公共工事の増加や円安誘導は、
スクール・学習塾業界においては「子ども手当」や「基金訓練」「給付金」などのように、国が補助をしてくれて、消費者や企業側にお金が回りやすくする状態です。
過去、これを経験された企業様も多いですよね。
こうしてお金が企業に回った段階で、その利益が出た分をドーンと給与に反映させられれば、従業員=消費者にもお金が回るわけなので、消費も活性化します。
いわゆる「世の中にお金が回る」という状況です。
しかし、現在の日本のように人口ボーナスがなくなり、どうしても市場縮小に向かう世界においては、企業は一時的な利益をそのまま従業員の給与に回せません。
なぜなら、子ども手当や給付金や基金訓練などの補助金が長続きしないこと、また、いざその援助が打ち切られたら一気に会社が苦境になることを知っているからです。
そこで何をするか、将来に備えて企業は「貯蓄」する、利益を「内部留保」にするわけです。
国としては「人件費」、もしくは「国内の設備投資」に回して欲しい部分が内部留保になるということです。人件費は固定費になりやすいので、そこを上げてしまうのは非常に経営としてはリスキーですからね。
ただ、この選択を国が企業を責める事はできません。
企業も雇用を守るために、つぶれないために選択している正しい選択ですからね。
・・・となると、どれだけ一時的に国がお金を回そうとしても、現在の日本の状況では全て企業の内部留保に化けてしまうのが実情です。多少は景気が良くなったように見えても効果は非常に限定的なのです。
実はこれは小泉政権からリーマンショック前でも起きていた現象です。
しかも、国がお金を出していくというのは、確実に財政悪化につながりますので、最終的には増税をすることになり、将来的には景気を悪化させる可能性が高いのです。
・・・じゃあ、どうすればいいの?ってことですが、
要するに企業側は「未来不安」が強すぎて内部留保をするわけですから、未来への不安を緩和するしかないのです。昭和の時代のように、「来年はもっと儲かる!」って状態であればいいのです。
ただ、この状態というのは「消費する人口数」が増加し続けないといけない=いわゆる人口ボーナスがある状態でなければなかなか難しい。
となると、即効の経済政策だけではなく、根本的には「少子化」を解消して、ドンドン消費する世代を増やしていくことで、日本経済は金が回る世の中になっていく可能性が高いのです。
ただ、この少子化解消が景気につながるのはあくまで30年後・・・。
政権運営や支持率的には確実に「無意味」な行為になるのです。
この長期戦略と短期の経済対策のバランスがとても大切なのですが、
自民党も民主党もこのあたりのバランスがちょっと偏っている(ように見える)のです。
民主党の最大の罪は、
「少子化解消」に向かおうとしたことは大きな意味があるのですが、目先の経済対策を軽視し、
「未来の投資の重要性」より「目先の経済優先」に世論を向かわせてしまったことにあります。
新自民党がこのあたり、どのように未来の国家ビジョンを見せてくれるのかが楽しみです。
少なくともここまで少子高齢化を進展させてしまったのは「旧い自民党」です。
新しい自民党が何を見せてくれるのかを見守りたいですね。
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