人材というのは単なる目先の「お金」だけで定着するものではありません。
組織に対する恩、やりがい、成長性などが重要です。
ある意味、目先のお金のみで動くような人間というのは、よほど能力が特化している場合以外はあまり信用おけないと思ったほうがよいかもしれません。
必然的に一流の人間というのは、上述したような目に見えない価値にも重きをおくような人間性をかねそろえているように思います。
そんなことを証明してくれたニュースがこれ。
中日の森野将彦内野手(30)が29日、来季残留の決意を独白した。12年目にしてフリーエージェント(FA)権を取得した森野は、悩み抜いた末に権利の“永久凍結”を決断。竜の新4番は心晴れやかに最後の7番勝負に挑む。
おそらく買い手が殺到していたであろう『超お買い得品』は、市場に出回ることはなくなった。12年目で取得したせっかくの権利だが、森野は“永久凍結”を決断した。
「権利を使うとしたら今年でしたね。だからもう、考えることはないと思います。形の上では行使せずということになるでしょうが…。残ります。名古屋にどっぷり漬かる覚悟です」
複数年を求めていくのか、それとも単年勝負か。契約の形態はシーズン終了後の球団との交渉しだいだが、その相手が『中日ドラゴンズ』のみであることは確定した。それが森野の結論。ただし、そこに至るまでのプロセスはかなり揺れたようだ。
「そりゃ考えますよ。どこに行けば、自分はどうなるのか」。空想、想像の域ではあるが、さぞや魅力的だったことだろう。たとえば母校・東海大相模の大先輩である原監督が率いる巨人のユニホームを着たら? たとえば地元・横浜に帰り、強力右打線の中でキラリと光る左打者としては? 今の森野なら、いかなる球団の戦力構想とも合致するはずだ。なぜならば、彼はバッテリー以外、どこでも守れるからだ。さらに3割&30発が見込め、30歳と若く、なおかつ年俸(1億3000万円)が安い。今季から導入される新補償システムでは「Bランク」となり、7800万円もしくは人的補償プラス5200万円の出費で森野獲得に動けるのだ。しかし、森野はそんな“追い風”に乗ろうとはしなかった。
「ボクは強いチームでやりたい。この先も強いのはドラゴンズです。そして、野球を長くもやりたい。1軍のグラウンドに長く立って、やりたい。そう考えたら、純粋に応援してくれるチームで…。もちろん、その環境に甘えることなくこれからもやりたいです」
権利を取得したのが北京五輪期間中の8月14日。そして、最終結論を出したのは9月中旬。帰国後、じっくりと考える時間をとった上での残留決着だった。残り7試合。すべてが決まる決死のロードを前に、森野の心はドラゴンズブルーに染め抜かれた。而立(じりつ)の30歳。竜の新4番がチームを日本一へとけん引する
中日ドラゴンズは今年の冬にレギュラーの3分の1がFAという危機的状況でしたが、
1番:荒木(五輪代表)
2番:井端(五輪予選代表)
3番:森野(五輪代表)
エース:川上
守護神:岩瀬(昨季取得も行使せず)
野手の3人はFA権さえも行使せずに残留が決定。こういった組織はやはり強いです。
広島の黒田選手の例を見てもわかりますが、地方の地元密着球団というのもいい方向に働いているのでしょうね。
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