「損して得取れ」
この発想はスクールビジネスにおいても重要な考え方です。今回は坪効率をベースにしてご説明してみたいと思います。
(たまには真面目なスクール関連な話です)
もう昔のことになりますが、
イオングループのダイヤモンドシティが市場の投入され、店舗数は少ないものの繁盛していたころのことです。
店舗クリニックで上司のコンサルタントの方に、成功の要素をいくつか教えてもらったところ、
その重要な要素のひとつに「フードコートの席数の多さ」があったことを覚えています。
要約すると上司の発言は下記のようなものでした。
「ファミリーを対象としたショッピングセンターの昼間の集客のカギを握るのは食事スペース(特にフードコートの充実)である」
「食事スペースを充実させるためには、各テナントを誘致するパターンとフードコートを設置するパターンがある」
「通常SCのディベロッパーは、テナント誘致であれば『坪あたりいくら』で借りてもらえるため、テナント誘致のが得だと考える」
「ただ、テナント制だと席数がどうしても減ってしまう上に、そのSC独自の魅力にならない」
「ダイヤモンドシティではフードコートに通常で考えられない程のスペースと席数を用意している(このスペースの家賃負担はディベロッパー側のはず)」
「家賃収入としてはこのスペースはマイナスだが、大局的にみればこれほどのフードコートの充実が、集客&リピートの源泉になっているためプラスになっているだろう」
わかりにくいかもしれませんが、簡単に言うと、
①本来テナント家賃収入で儲けてもいいスペースを、大規模フードコートの座席という家賃の発生しないものにしてしまった。
②その結果、かえって集客に成功した。
そんな感じです。
まあ、もちろんダイヤモンドシティ側としては、フードコート立地の業態の売上歩合を割高にしたとか、裏テクニックがあるかもしれませんが、このような大型フードコートの発想がSC開発の世界ではなかったことも事実のようです。
話は大きくそれましたが、スクールビジネスについて考えてみましょう。
スクールビジネスでも坪効率を重視すると、
例えばパソコンスクールなどでは席数を過剰に増やそうとしてしまいます。
これは短期的には非常に正しいです。その分消化できる生徒さんの数は増えて、売上も増えるわけですから。
しかし、実はこのメリットはいきすぎると、お客様の快適感の現象というデメリットを引き起こしてしまいます。
さらに業界全体が成熟期から安定期になると、坪効率を意識できるほどの「客数」が確保できなくなります。
そうなってくるとこの「坪効率」重視の発想には、あまりメリットがなくなってくるのも事実です。
そこで安定期の業界のスクールでオススメしているのが、
「坪効率」を無視する考え方
=待合スペースやコミュニティスペースを充実させる考え方
なのです。
安定期の業界において一番困るのは「集客」です。
これを解決するための内部営業や口コミ紹介を促進するためのスペースとして、一見何の生産性もないコミュニティスペースが重要になってくるわけです。
(コミュニティスペースはお客様の滞在時間や満足度が高まるため、紹介につながるという効果もあります)
コミュニティスペースを無駄と考えるのではなく、
内部営業(PR)のための場、
お客様満足度アップのための場、
口コミ紹介による集客づくりの場、
このように考えるのがポイントなのです。
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